ジャングリア赤字の真因
ジャングリアの親会社が、前期に173億円の最終赤字を計上したという。この数字を見て、私は「集客が足りなかったのか」より先に、「ジャングリアというコンテンツを、どう育てる計画だったのか」と考えた。
沖縄には、すでに人を惹きつける大自然がある。そこに人工のテーマパークを造るなら、「沖縄に来たついでに寄る場所」以上の理由が要る。ここでしか味わえない世界観をつくり、訪れるたびに新しい発見があり、人に話したくなる。そうした体験を何年も積み重ねて、初めて「ジャングリアに行きたい」という気持ちが育つ。
USJの再成長と、ジャングリアの立ち上げは、同じ仕事ではない。USJには、すでに多くの人に愛される作品やキャラクターがあった。その魅力を届けることと、まだ知られていないコンテンツを一から愛される存在に育てることでは、必要な計画も時間も違う。
私はソーシャルゲーム業界で、コンテンツをゼロから立ち上げ、育てる仕事に携わってきた。公開して広告を打てば、作品が育つわけではない。遊んでくれる人が何を好きになり、何を待ち望んでいるのかを見続け、体験を磨き、次の楽しみを届ける。その繰り返しが、コンテンツの価値になる。
テーマパークも同じだと思う。アトラクションを造って終わりではない。よみうりランドが「ジュエルミネーション」や「グッジョバ!!」を育ててきたように、再び訪れる理由をつくり続ける必要がある。
これはSEOにも似ている。中身を育てないまま外部施策でアクセスを集めても、訪れた人の期待には応えられない。マーケティングは価値を届ける力だが、届ける価値そのものを育てる仕事の代わりにはならない。
だから、当社は「パブリッシング」を名乗っている。私たちはサービスもまた、一つのコンテンツだと考える。作り手の思いを理解し、その価値を愛し、利用する人の声を聞きながら、経営者の視点で長く育てていく。そこに、私たちのコンサルティングの醍醐味がある。
今回の赤字だけで、経営の原因を一つに断定することはできない。ただ、巨額の投資と来場者数の計画を立てるなら、その数字を支える「コンテンツをどう育て続けるか」が事業の中心にあるべきだ。ジャングリアの現状からは、そこへの目配りが十分だったのかという疑問を抱く。
再生の道があるとすれば、短期の集客策を重ねることよりも、訪れた人が好きになり、また会いに行きたくなる「ジャングリアならではの何か」を根気よく育てることではないだろうか。


Share:
代表奥村のリモート機材を紹介します - 音声環境編① -
他人の成果を自分の手柄にする人|開発現場の経験から考える